機能性表示食品の消費者庁への届出には、SR作成や臨床試験(RCT)を実施しなければなりません。
そこで、SRやRCTの概要や届出のプロセスなどを紹介します。
機能性表示食品制度においては、製品のパッケージや広告で「機能」をうたうために科学的根拠を示すことが不可欠です。特にOEMやODMで新商品を開発する際は、発注者である企業側も「どのようなエビデンスが必要なのか」を理解しておくことが成功のカギになります。ここでは代表的な2つの方法を解説します。
SRとは「Systematic Review」の頭文字をとったもので、日本語表記では総合的文献調査とされます。
機能性表示食品の認証を取得するには、当該成分の機能が有効であることを証明する科学的エビデンスが必須。そのエビデンスを構成する要素のひとつが研究レビューであるSRです。
SRは、すでに発表されている臨床試験論文を網羅的に収集・評価し、その成果を総合的に判断する手法です。自社で新規に大規模な臨床試験を行わずとも、既存の研究を組み合わせることで「機能性の根拠」を示すことができます。
SRの大きなメリットは、費用と時間の負担を抑えやすい点です。中小企業やOEM依頼者にとって比較的取り組みやすい手段であり、実際に現在の届出の約9割がSRを活用しています。ただし、レビューの質は検索範囲や採用基準の透明性に左右されます。計画書の作成、文献データベースの選定、採用・除外基準の明示、バイアスの評価など、専門的な作業が必要になります。そのため、専門機関やCROと連携して実施するケースが一般的です。
エビデンスのもうひとつの要素であるRCTは「Randomized Clinical Trial」の頭文字をとった名称で、被験者を無作為に群分けし、サプリメントを摂取する群としない群で効果を比較する方法です。
最終製品の接種グループとプラセボの接種グループをランダムに編成、ブランド試験を実施。プラセボ対照や二重盲検を取り入れることで、因果関係をより客観的に示すことができます。RCTによるエビデンスは説得力が高く、特に新しい成分やこれまで十分な研究が蓄積されていない素材を扱う場合に有効です。
臨床試験は認定臨床研究審査委員会の監視のもとで行われ、論文を作成して査読付き雑誌に掲載しなければなりません。計画立案から倫理審査、被験者募集、試験実施、論文化まで長期間を要し、コストも大きくなります。一般的に数百万円から数千万円単位の費用が必要で、半年から1年以上の期間を見込む必要があります。届出に活用するためには、UMINなどの試験登録やCONSORT声明に準拠した論文発表も必須となります。
機能性表示食品の届出は、消費者庁のデータベースを通じて行われます。個別審査はなく、形式的な確認で「受理」となる仕組みですが、不備があれば差し戻しや修正が発生し、スケジュールが大きく遅れることもあります。そのため、事前準備が非常に重要です。
届出に必要な要件は以下の通りです。
これらを揃えたうえで、基本情報届出を行いIDを取得し、受理までおおよそ数ヶ月から1年程度かかります。特にOEMやODMで商品化する場合、製造サイドだけでなく販売企業側もエビデンスと表示要件の両立を意識する必要があります。
機能性表示食品の消費者庁への届出はどういった順序で進めるのか、簡単に整理してみましょう。
SR(研究レビュー)とRCT(臨床試験)の結果をもって、関与成分の機能性に関する科学的エビデンスとします。
届出を行うにあたっては、商品名などの基本情報(様式I)と科学的エビデンスの他にも揃えておかなければならない書類があります。
食経験や安全性試験による安全性の根拠、ISOやGMPなど生産・製造・品質の管理方法、CS部門など健康被害の情報収集体制、パッケージデザインなど表示内容、作用機序(関与成分が機能性を発揮する仕組み)といったところです。
必要書類を揃えて消費者庁へ届出をします。
書類不備などがあれば差し戻しされるので、修正して再度書類提出をする必要があり、この段階でスタックするケースも少なくありません。
この分野は日夜研究開発を競いあっている状況。
届け出る側も運用の変化を逐次キャッチアップしていなくてはなりません。
届出内容が認められると消費者庁から受理番号が交付され、消費者庁HPにも公開されます。
そこから60日間、トラブルなどが発生しなければ製品リリースとなります。
関連する論文の調査やレビュー作成、臨床試験の実施、そして消費者庁への届出は、専門知識と経験が必要な複雑な業務です。
これらの業務をサポートしてくれるOEMメーカーを選べば、製品の企画段階から調査研究まで、頼りになるパートナーとなるでしょう。
参照元:薬事法ドットコムHP(https://www.yakujihou.com/kinousei/service/flow/)
サプリメントの受託製造は大きく分けて2種類、「OEM」と「ODM」があります。両者の違いをしっかりと理解し、自社の要望に合ったメーカーを見つけるのが、サプロメント受託製造を成功させる第一歩です。
新商品の設計・開発を請け負うODM企業は基本的には、さまざまな原料、剤形、包装資材・容器を扱うことが可能です。しかし、独自原料の保有や、独自の特許技術、増産実績など各社特徴を持っており、ここでは商品開発で強みを持つ目的別のおすすめODM企業をご紹介します。
安全性と効果を体感できる有効成分含有量のバランスを取った商品設計で、取り扱いサプリメントの75%に対して増産依頼があります(※1)。
エビデンスの構築に注力しており、医師や大学、研究機関と連携。効果と安全性を科学的に証明し、ブランドの信頼と高いリピート率を支えています。
王子食品ではまだまだ珍しい膣内フローラの安定化をさせるサプリメントを30日分×400製品の小ロットで提供。
フェムケア以外にも、バターコーヒーやモリンガなど、拡大している市場だが、在庫をあまり持ちたくないといった悩みにも対応しています。
抗肥満・BMI低下、内臓脂肪、皮下脂肪低減など、ダイエット関連で多様な商材に対応。
剤形も通常の打錠・各種カプセルだけでなく、ドリンク、ゼリーなどにも対応しており、剤形から他社と差別化を図れることも可能です。
※1 参照元:株式会社SBS公式サイト
https://www.sbs-company.co.jp/lp/ 2024年9月調査時点
商品の設計をした依頼主から、製造工程だけを請け負うOEM。設計した新商品をターゲット層の嗜好に添って適切な剤形で提供することは、消費者にリピート購入してもらうための大事な要素です。しかしながら、OEM企業側の設備がなく、狙った剤形が対応できない場合も多々あります。ここでは、市場で反響を呼びやすい剤形のサプリメント製造を得意としているOEMメーカーをご紹介します。
ソフトカプセル自動機のメーカーとして、世界各国へ200台余りの機械を納入(※1)。
粉末原料も充填可能なシームレスカプセルや、胃に溶けずに腸まで内容物を届けることが可能な耐酸性カプセルなど、ニーズに沿った幅広いカプセル製造が可能。
ガラス瓶、プラスチック容器、アルミボトル缶、液体三方が選択でき、0.5ml~900mlまでの容量に対応可能。
ハチミツ、オリゴ糖といったシロップ状原料や、エキス製品、果汁・お茶などのろ過・精製も対応可能。
機能性グミ・果汁入りグミ・糖衣グミ・センターイングミなどオリジナルグミのフルオーダー製造が可能。
また、形状、風味、色調、食感を用意されている規格から選択し、開発期間を最短6ヶ月に短縮できるセミオーダー製造も選択できます。
※1 参照元:三協公式サイト
https://sankyohd.com/companyprofile/ 2024年9月調査時点